11年間で8度の総合優勝、箱根駅伝にめっちゃ強い青学大が特定の実業団チームにしか進まない衝撃の理由

箱根駅伝王者・青学大。今冬はマラソンでも旋風を巻き起こしたが、意外な〝弱点〟がある。それはエース級といえども、希望した実業団チームに進めない場合があることだ。
酒井政人 2025.04.10
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 今年の箱根駅伝は大会新で連覇を達成。直近11年間で8度の栄冠に輝いているのが青学大だ。今冬のマラソンでも黒田朝日、若林宏樹らがセンセーショナルな活躍を見せた。

 華やかな箱根駅伝でめっちゃ強い青学大だが、意外なことに五輪・世界選手権の日本代表を輩出していなかった。しかし、OBの吉田祐也(GMOインターネットグループ)が今年9月に開催される東京世界陸上代表に選ばれた。

 勢いに乗る青学大勢には意外な〝弱点〟もある。それは卒業後の進路が偏っていることだ。そして、その理由が衝撃だった。

 まずは箱根駅伝で初優勝を飾った2015年以降、実業団に進んだ主な箱根ランナーの進路を見てみよう。

2015年 藤川拓也→中国電力

2016年 神野大地→コニカミノルタ、久保田和真→九電工、小椋裕介→ヤクルト、渡邉利典→GMO

2017年 一色恭志→GMOインターネットグループ、秋山雄飛→中国電力

2018年 下田裕太→GMOインターネットグループ、田村和希&中村祐紀→住友電工

2019年 森田歩希&林圭介→GMOインターネットグループ小野田勇次→トヨタ紡織、梶谷瑠哉→SUBARU、橋詰大慧→SGホールディングス

2020年 鈴木塁人→SGホールディングス、中村友哉→大阪ガス

2021年 𠮷田圭太&岩見秀哉→住友電工

2022年 飯田貴之→富士通、湯原慶吾→小森コーポレーション

2023年 近藤幸太郎&中村唯翔→SGホールディングス、岸本大紀→GMOインターネットグループ、目片将大→大阪ガス、横田俊吾→JR東日本

2024年 佐藤一世→SGホールディングス、倉本玄太→中電工、志貴勇斗→ヤクルト、山内建登→九電工

2025年 太田蒼生&鶴川正也→GMOインターネットグループ、野村昭夢&白石光星→住友電工

初期は中国電力、近年はGMOに選手が集中

 2010年代前半は原晋監督の出身チームである中国電力に進む選手が多かった。箱根駅伝初優勝時の主将で9区区間賞の藤川拓也以外にも、米澤類、出岐雄大、竹内一輝らエース級が入社している。

 しかし、2016年にGMOインターネットが陸上部を立ち上げると、原監督がEKIDENダイレクターに就任したこともあり、同社に主力選手が続々と入社するようになった。近年は吉田圭太と鈴木塁人が他チームから移籍。現在は日本人選手13人中8人が青学大出身というアオガク色の濃いチームになっている。

 他には住友電工とSGホールディングスが多い。今年に関してはGMOインターネットと住友電工に2名ずつ進んでいる。

 その一方で、ニューイヤー駅伝で2年連続してトップスリーを占めている旭化成、Honda、トヨタ自動車。それから名門・カネボウの系譜を継ぐKao、マラソンでも活躍する三菱重工と安川電機に進んだ選手はいない。

 青学大の選手が進む実業団チームはかなり限られている。そんな印象を持っている方は多いのではないだろうか。

 大学から実業団に進む場合、監督(もしくはコーチ)同士がパイプ役となることが多く、監督の人脈がものをいう。

 なお原監督がエキスポ駅伝の出場辞退を批判したHondaは、中大色(歴代監督は中大OB)が濃いチームだ。このように実業団チームには独自のカラーがある。

 では、なぜ青学大勢は特定のチームにしか進まないのか。

太田蒼生(左)はGMOインターネットグループとプロ契約を結んだが、エース黒田朝日(右)はどこに進むのか!?

太田蒼生(左)はGMOインターネットグループとプロ契約を結んだが、エース黒田朝日(右)はどこに進むのか!?

実業団関係者から聞いた〝悲しい本音〟

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