柴田大地(中大)、復活へのプロローグ 約2か月の練習で8分43秒03の3位

昨年11月6日に行われたナイキの「2025 Ekidenコレクション」の発表会に登壇した柴田だが、箱根駅伝のエントリーに名前を連ねることができなかった。
日本学生個人選手権の男子3000m障害で柴田大地(中大3)が久しぶりに〝戦いの場〟に戻ってきた。
佐々木哲(早大1)が大会新となる8分36秒30で完勝したレース。黒木陽向 (創価大4)にも先着を許して、柴田は8分43秒03の3位でレースを終えた。
「ユニバ選考レースだったのでタイムにこだわりはなく、勝ち切るレースをしたいと思っていました。ラスト1周を前に離れてしまって、勝負すらさせてもらえませんでしたが、現状確認はできたのかなと思っています」
柴田は昨年の日本選手権3000m障害で日本学生歴代2位の8分24秒68で2位に入った選手。しかし、その後は相次ぐ故障に苦しんだ。
「夏に故障して、昨年の9月末のアスレチックスチャレンジカップ(6位/9分01秒26の6位)に出場した後も故障が続きました。故障の箇所はいろいろです。冬季練習はできなかったんですけど、3月からジョグを始めて、2か月くらいは練習を積むことができました。練習の一環で出場した記録会はあるんですが、本格的なレースは約7か月ぶりです。現状を確かめるという意味での出場でしたが、勝ち切れなかったのが悔しいです」
柴田は昨年6月の日本選手権のときに「箱根駅伝予選会では日本人トップを狙うような走りをしないといけないと思います」と語っていたが、同予選会は故障の影響で欠場した。
箱根予選会で藤原正和駅伝監督は、「柴田は全日本にはできたら間に合わせたい。総合3位以内を目標に掲げる箱根駅伝は往路からしっかりと攻めた布陣を組むには柴田の復帰にかかっています」と話していたが、全日本大学駅伝も欠場。箱根駅伝にも間に合わず、柴田はエントリーメンバーから漏れた。箱根駅伝では3区(本間颯)の付き添いを担当したという。
「学生は駅伝がメインになりますし、自分が走らなきゃいけない立場だと自覚していたので、申し訳ない気持ちです。箱根予選会と全日本は自分が走らないと、という気持ちが出過ぎて、自分のやるべきことができない部分がありました。箱根駅伝のエントリーを外れてからは、チームが勝つためにどうしてらいいのか、常に考えてやってきました」
長所だという「爆発力」が故障の原因になっていたという。
「一本一本の出力に対してリカバリーが追いついていなくて、故障したり、動きが崩れて連戦できなかったりした部分がありました。その日の調子だけで走っていたところがあったので、カラダを作り直して、技術で走るというか、安定して高いパフォーマンスで走れるように考えて取り組んできたんです」
そして自身の「走り」も見つめ直している。
「動きやフォームが自分のなかで良い時と悪い時があって、ハマれば出るんですけど、うまくいかなかったときに大崩れしてしまう部分がありました」
昨年の日本選手権は、「練習はちょっと積めていなかった部分があった」が「調子がうまくハマったレース」だったという。フォームに関しては、「自分ではあまりわからないですけど、外から見ると、『違う』という声をいただきましたし、自分でも(映像を)確認して『違うな」と感じています」というくらい〝素晴らしい走り〟だったようだ。
では今回の日本学生個人選手権はどのような走りだったのだろうか。
「思っている以上に動かず、状態が悪いというか、崩れていて、走りの感覚とギャップがありました」と動きは良くなかという。一方で、今後に向けての手応えをつかんでいる。「今日のレースもどちらかというと崩れてしまった部類に入るかなと思うんですけど、その割にタイムをまとめられた。この冬の成果が少し出てきたかなと思います」と話す。
今季のトラックシーズンは3000m障害を中心に挑む予定で、狙うは〝世界の舞台〟だ。
「今年は9月に東京で世界陸上があるので、そこを目指さない選択肢は自分のなかにありません。練習の感覚は良くなってきていますし、5~6割ぐらいまで戻ってきているのかなと思います。参加標準記録の8分15秒00が目指しているところなので、まずはセイコーゴールデングランプリ(5月18日)で狙っていきたい。トラックシーズンは3000m障害で世界陸上の出場を目指して、駅伝シーズンは主要区間、エース区間で区間賞を獲得する走りをしていかないといけないと思っています」
活況する日本の3000m障害と箱根駅伝で総合優勝を目指す中大の〝キーマン〟として、柴田の〝完全復活〟を期待したい。
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